リスケに成功するための7つの鉄則|NORTHSTAR総研

リスケに成功するための7つの鉄則

窮地脱出の第一歩は「銀行に言われる前に動くこと」

 金融機関とリスケ交渉をして返済を止め、その間に財務リストラをする。
 資金繰りが苦しくなったときに経営者が打つべき手は、今も昔もこれしかない。
 専門家に、リスケ交渉に成功するための7つの鉄則を聞いた。


 信用保証協会の代位弁済が急増するほど逼迫する中小企業の資金事情。準備のないまま金融円滑化法を活用しても、“延命”は一時的なものに終わりかねない。
 しかし、事態を切り抜ける逆転の秘策はない。資金繰りが苦しくなった時に打つべき手はただ1つ、金融機関とリスケ交渉をして返済を止め、その間に財務リストラをする、それだけだ。
 「窮地に会っても、社長が本気でリスケ交渉に臨み、銀行の協力を取り付けられれば、会社が立ち直る可能性はぐんと高まる。」これまでに300社に近い企業の事業再生に成功した、ノーススターパートナーズ(神戸市)の椢原浩一社長はこう話す。


リスケ交渉は先手必勝

 リスケ交渉でまず大事なのは、①返済の青写真をこちらから示すことだ。
 銀行の疑問に先回りして見通しを示すことで、交渉の主導権を握ることができる。銀行もあなたの会社の事業を詳しく知っているわけではない。銀行任せにしたために、結果として実現不可能な返済計画を押し付けられては元も子もない。
 銀行が最も知りたいのは「貸したカネが戻ってくるか」だ。
 「いつまで返済猶予してほしいのか」「返済猶予中は元本の支払いはゼロにするか、それとも減額にするか」「猶予期間が終わったら、どれくらい返済するのか」「債務償還年数はどれくらいになるか」「債務超過ならば債務超過解消に何年かかるか」…。
 それらのポイントを最低限は抑え、「銀行に言われる前に動くこと」-。それが、窮地脱出の第一歩になる。
 次に大切なのは、②無理な返済計画は禁物、ということ。
 本当は債務返済に10年かかるにもかかわらず、5年で返そうとしても、結局返せず再度泣きつくことになる。素直に数字を明かし、協力を求めれば分かってくれる金融機関は少なくない。
 さらに、借入金額の一番多い③メインバンクから交渉することもリスケの鉄則だ。「メインが協力するなら、当行も応じざるを得ない」とメイン以外の協力も取り付けやすくなるからだ。
 ただし、交渉の順序はメイン優先とは言え、交渉内容では各銀行を平等に扱うことが望ましい。「親しい銀行だけ多めに払う」といった不平等がバレると、協力を得にくくなりかねない。
 例えば、A銀行から1億円、B銀行から5000万円、C銀行から3000万円を借りていたならば、返済額はそれぞれ100万円、50万円、30万円といった残高比例配分(プロラタ返済)にするといった配慮が必要だ。

最後は“口説き落とす”

 リスケのベストは④元本返済ゼロ、金利据え置きである。「月額1~3万円くらいなら」と元本返済に同意する社長も少なくないが、借金の返済原資を作るにはその何十倍もの売上高が必要。少しでも資金繰りに余裕を持たせたいなら、元本返済はゼロが望ましい。
 「金利の引き上げをしてもらわないと猶予には応じられない」と銀行に言われるかもしれないが、金利アップは避けるべきだ。「資金繰りが厳しいから返済猶予をお願いしたのに、金利アップをされるのはつらい」と粘り強く交渉し“口説き落とす”しかない。
 金利アップなどの条件交渉のほか、担保や連帯保証人を追加してほしい」といわれることもある。が、⑤保全には応じないのが基本姿勢。1行の要求に応じると、債権者平等の原則が崩れ、他行にも認めねばならず、調整がつきにくくなる。
 これらの項目がすべて実行できればベストだが、「元本返済ゼロは受け入れられない」など、難色を示す相手もあるかもしれない。前もって⑥交渉の目標と着地点を定めることで、柔軟に対処したい。
 最後に⑦社長が自ら交渉し、未来を語ること。これが最も重要な項目だ。
 できれば会社をつぶしたくない気持ちは金融機関も一緒。営業エリアが限られる信用金庫・信用組合などでは、その傾向が顕著だ。お互いにとって良い解決方法を探って話し合いを続ければ、道が開ける可能性は残されている。

借金返済をスムーズに進めるための「リスケ」の鉄則

リスケに成功するための7つの鉄則

1.返済の青写真をこちらから示す
 事業のリストラ策を示し、収益性を改善させる道筋を示す

2.無理な返済計画は禁物
 リスケしたのに返せないと、信用は大幅に低下する

3.メインバンクとまず交渉
 まずメインバンクの協力を取り付けてから、他行との交渉に臨む

4.元本返済ゼロ、金利据え置きがベスト
 粘り強く交渉するべき。どうしても元本の返済ゼロが難しければ、交渉をスムーズに着地させるために妥協も視野に入れること

5.担保や連帯保証人の追加といった銀行の保全には応じない
 あくまで事業の再建で返済していくことを伝える

6.交渉の目標と着地点を定める
 元本返済額などで交渉が難航するならば、時には妥協も必要だ

7.社長が自ら交渉し、未来を語る
 返済計画をどれだけ社長が熱意をもって語れるかで変わる

2010年11月1日発刊 日経トップリーダー 総力特集「あなたの会社とカネ」より
窮地脱出の第一歩は「銀行に言われる前に動くこと」より

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