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【会社にお金を残す経営】〜粉飾の末路〜 2025.10.06

今日は、売上を伸ばそうとするあまり、不正会計、粉飾によって経営破綻した会社の事例を共有したいと思います。




中小企業の粉飾の実態について、公表されているデータは非常に少ないのですが、

監査役が機能してない会社がほとんどということもあり、

中小企業では大なり小なり粉飾をしている企業が多いと言われています。




売上40億を超える中古車販売会社の例です。


実は、この会社は存在していません。

すでに破産しています。


経営者と経理担当者は、詐欺と詐欺破産、詐欺幇助で逮捕起訴。

そして、顧問税理士は詐欺幇助で逮捕起訴されました。


その後、3人とも実刑を含む有罪判決を受けたと報道されています。



破産に至った経緯は、

・「何か数字が気になる」と思っていた金融機関からエビデンスを求められ、粉飾が発覚。


・金融機関から借り入れ全額の返済を求められる。


・他の金融機関には事実をすぐに公表せずに、時間が経ってから公表。


・経営者は自身の保身に動く。


・その後、破産申し立て。


・破産管財人に虚偽の申告。

※これが詐欺破産です。


・最初の金融機関とは別の金融機関が刑事告発。

※融資を受けるために粉飾した書類を提出、これが詐欺に該当。


・その後、3人とも逮捕、起訴され、有罪


です。




粉飾の内容は、わかっているだけでも、


・売上、売掛金の水増し


・在庫の水増し


・決算直前にお金を他人から借りて一時的に現預金を膨らまし、決算直後に返済し、現預金と純資産を水増し


・負債の虚偽計上


・金融機関によって、決算書と提出していた書類が異なる


など、聞いただけでも悪質な内容です。


粉飾の期間は十数年にわたり、

直近決算書での粉飾額は10億近くだったとのことです。


虚偽の書類を金融機関に提出し、融資受けていたことが詐欺に該当し、それを助けた税理士も有罪になっています。


経営者から言われたから仕方なくやったと言っても、

やっていけないことをやれば許されないということです。




この会社は、売上が40億を超え、粉飾額は10億近くの多額ですが、

これより少ない金額であれば、ここまで大ごとにならないでしょうか。


実は、数千万の粉飾で逮捕起訴され、破綻したケースも多くあります。


少額でも対応を誤ると金融機関から取引停止、刑事告発も十分ありえるのです。



粉飾のことをコンプライアンス不祥事と言います。


コンプライアンス不祥事に対する世間の目は厳しく、1日も早く、自ら是正しないと会社の存続どころか、経営者やその家族の生活までもが破綻してしまいます。




次回は、粉飾を行っていたが、きちんした対応で再建を果たした会社の事例を共有したいと思います。